好みにまつわる呪怨物語・前編
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こんにちは。紺野です。
前回あのままつらつら書いていたら、5000字を軽く越えようかとしていました。もはや自分の情念に狂気しか感じない。呪怨に出演していてもおかしくない。そして思いました。これはもうブログのネタとして消化しよう。もとい浄化しよう。そしてもうこの一連の出来事は思い返さない。二度と。
情熱と勇気と後悔と
あれは私が高校を中退し、ニート生活が始まって、引きこもるかこもらないか片足突っ込んでるか突っ込んでないかの頃。世間では「バトル・ロワイアル」という映画が話題になっていました。北野武が言います「今日はみなさんにちょっと、殺し合いをしてもらいます」。
私は一瞬で心を鷲掴みにされました。ころしあうの? なにそれすごそう。
念のためここで一筆しておきますが、決して私はころしあいが好きなわけではありません。限られた場面で展開するお話が好きなのです。たとえば密室、あるいは孤島、村・・・聞けばかの映画は島を舞台にサバイブするらしい。
・・・観たい。でも一人じゃ嫌だ・・・誰か・・・誰か!
しかし映画が映画です。当時の友人は真面目な優しい子、大人しい子が多かったので人選をとても悩みました。私がころしあいの映画を観たいなんて言ったら絶対に、絶対に引かれる。
でも、でも観たいんだッ!
今思えばなぜそんなにあの映画を観たかったのか。謎の熱に動かされていたとしか思えない衝動でした。
そして当時の友人の一人に緊張しながら誘ってみました。自発的に誰かを誘うなんて私の人生の中ではとても稀なことです。小学校の家庭訪問のとき、家にいたくなくて誰かを誘ったとき以来です。
その子は高校受験に失敗して、そのまま家で家事手伝いをやっているとのことでした。きっと私と同じように世の中に対する鬱憤がたまっているはず!
私「あ、もしもし元気? 私、紺野だよー。久しぶりー」
友「わー久しぶり。元気してる?」
私「元気元気。あのさ、今度さ、もしよかったら遊ばない? 観たい映画があるんだけど、一緒に行ってくれる人を探しててー」
友「え? 映画? 何の映画?」
私「えーっとあのー、ちょっと派手なストーリーのやつなんだけどー・・・」
友「えー? まさか、あのバトルなんとかってやつじゃないよねぇー?」
柔らかな彼女の声には、じんわりと軽蔑の色が混じっていました。
・・・しまった。なんか、著しく間違えたかも人選を。
ここですかさず「まっさかーあんな悪趣味なの誰が見るんだろうねーははははは(白目)」って言えたらどんなによかったか。けれど、中途半端な勢いがかかってる状態では会話はやすやすと止められず。
私「ぐっ!・・・ん、そう、それ・・・」
友「あー、嫌い」
私「そ・・・かー・・・嫌いか、んじゃ仕方ないねー・・・」
さっきまでとは打って変わった彼女の低く投げやりな声に、何とか言葉を搾り出しました。こういう反応もある程度は予想していましたが、実際に言われるとけっこうダメージがあって、面と向かって自分を嫌いだと言われたような気すらします。
そして。
友「ああいうのって人間的にどーなんだろうね。あの映画の話題、耳にするだけで気分悪いし。生理的に受け付けないっていうか、とにかく嫌い」
私「だよねー・・・はははは(死)」
私の声は消え入りそうだったと思われます。ショックでした。そのあと電話で何を話したか覚えてないくらいに。
友「まさか紺野ちゃんがああいうの好きだったとはねー。あんなのどういう人が好んで観るんだろって思ってたけど、まさか紺野ちゃんが。へー。すごいね紺野ちゃん。私には良さがまったくわからないけど」
・・・つらい。
好きなモノを否定されるのってこんだけ辛いんだね。しみじみ思いました。そして後悔しました。友達を軽んじ、柄にもなく主張して人を巻き込もうとした自分バカヤロウと。
でもじわじわと怒りがわいてもきました。その電話の1ヶ月ほど前に彼女からの誘いで、遊びに行ったときのことを思い出したのです。
後編に続きます。